法律相談事例
離婚の話し合いをしていますが、親権者でもめています。
離婚・親族
親権者はどうやってきまりますか?
1 離婚後の親権
日本の法律では、婚姻中は両親の共同親権ですが、離婚時には一方を親権者と決めなければならない(単独親権といいます)ことになっています。しかし、どちらも自分で育てていきたいという場合、親権者の指定を巡って深刻な争いになることがあります。
海外では、離婚後も共同親権の制度を採っている例もありますが、日本ではどちらかに決めなければならず、大変悩ましい事態になります。
2 親権者の決め方
夫婦間で離婚の合意ができていても、親権者をどちらにするかについての合意ができていない場合には、話し合いで離婚届を提出することはできません。この場合には、家庭裁判所に離婚調停の申立てと合わせて親権者指定の申立てをすることになります。
調停での話し合いがまとまらず、離婚訴訟に至ったときは、裁判所は離婚の請求を認める場合には、親権者を指定することになります。
裁判所が親権者を指定する場合には、一概にどちらという基準はありませんが、ポイントになる点を紹介します。
3 親権者指定の基準
親の側の事情として、【1】監護体制の優劣(経済状態、住環境、家庭環境、教育環境、監護補助者の有無など)、【2】子に対する愛情・監護意欲、【3】心身の健康などです。
子の側の事情としては、【1】子の年齢、心身の状況(子が幼いほど母親が親権者になる傾向があります)、【2】環境の継続性(今いる環境を変えない)、【3】子の意思(15歳以上の場合は、子の意見を聞くことになっています)などです。
一つ一つが絶対的基準ではなく、裁判所もいろいろな事情を総合的に考慮して決めています。
4 親権者とならなかった場合の子との面接交渉
親権者とならなかった親も、子に虐待などのない限り、子に面接する権利があります。
ただ、両親は離婚を選択するまでにはいろいろな事情がありますので、非親権者に対する感情も複雑で信頼感を失っていることも多く、相手の権利だからといって子と面接することを簡単に受け入れられるものではありません。場合によっては、試行的面接交渉を行いながら、信頼関係を徐々に作り出していくことが必要です。
当事者だけでは難しいときは、家庭裁判所の調停を利用したり、FPIC(面接交渉の手助けをしてくれる民間団体です。但し費用がかかります。)などを利用して、スタートして実績を重ねていくことが重要です。
なお、養育費の支払をきちんとしていくことは、信頼構築の重要な要素ですので、この点は忘れないようにしてください。