法律相談事例
相続されたアパートの継続居住
借地・借家
アパートを賃借していますが、最初の2年については、契約書がありますが、その後契約書を作らないままもう5年目になります。
【1】最近、家主が亡くなったということで相続人から、部屋を空けて欲しいと言われました。家主さんが亡くなってしまったら部屋を空けなければならないのでしょうか。
【2】賃料は、最初に決めた金額のまま支払いを続けていましたが、すぐに空けなければならないのでしょうか。契約書を作っていなかったせいで不利益になっていますか。
家主が亡くなった場合には、契約は、相続人に当然に引き継がれます。
心配はいりません。
2年の契約期間がすぎれば契約は終了するのが原則です。
でも、建物の賃貸借は、生活の基盤にかかわる契約ですから、借主の保護のために借地借家法で借主が保護され、契約の継続が原則になっています。
【1】家主が、期間の満了の1年まえから半年前までの間に借主に対して契約を更新しないという通知をしなかった時には、契約は、それまでと同一の条件で契約が更新されたものとして扱われます。ただし、契約期間の定めは無いことになります。
【2】また、家主から更新しないという通知があっても、借主が明け渡しをせず使用を続けているのに、家主がこれに対し直ぐに異議を言わなかった場合も、契約は当然に更新されたことになります。
【3】そして更に大事なことは、借地借家法が、借主を保護するために、家主からの更新拒絶や解約申し入れには正当事由が必要であると定めていることです。この正当事由があるかどうかについて借地借家法は、家主が自ら部屋を使用する必要がある場合であることや、その他の様々な事情、家主が支払いを申し出た明渡料の額などを総合的に判断しなければならないと定めています。借り主が、家主の都合のみで当然に明け渡さなければならないということはありません。
【4】契約書が無いことを心配されているようですが、契約書が無くても契約は続いています。ただ、契約で期間を定めていないと、借地借家法で家主に正当事由があれば、家主はいつでも解約を申し入れができ、契約は解約申し入れの日から6ヶ月経過することで終了すると定められています。
ですから、特に不利な条件に契約を変更されるような場合で無ければ、新たに契約期間を定めて契約書を作成しておくことをすすめます。
家主からの申し出にただ従うのではなく、きちんと弁護士に相談して自分の権利を守ってください。