法律相談事例
子どもの親権
離婚・親族
私は現在妻と離婚の話合いをしていますが、一人息子(4歳)の親権者にどちらになるかでなかなか話がまとまりません。
息子は妻が実家に連れて行ってしまったので、妻が育てていますが、月に2回会いに行っています。
私が親権者になって息子を育てていくことはできないのでしょうか。
また、親権者になれなかったときでも面会をすることはできますか。
日本の法律では、婚姻中は両親の共同親権ですが、離婚時には一方を親権者と決めなければならない(単独親権)ことになっています。
しかし、どちらも自分で育てていきたいという場合、親権者の指定を巡って深刻な争いになることがあります。
海外では、離婚後も共同親権の制度を採っている例もありますが、日本ではどちらかに決めなければならず、大変悩ましい事態になります。
一概にどちらという基準はありませんが、ポイントになる点を紹介しておきます。
親の側の事情として、【1】監護体制の優劣(経済状態、住環境、家庭環境、教育環境など)、【2】子に対する愛情・監護意欲、【3】心身の健康などです。
子の側の事情としては、【1】子の年齢、心身の状況(子が幼いほど母親が親権者になる傾向があります)、【2】環境の継続性(今いる環境を変えない)、【3】子の意思(15歳以上の場合は、子の意見が尊重されます。)などです。
一つ一つが絶対的基準ではなく、裁判所もいろいろな事情を総合的に考慮して決めています。
親権者とならなかった親も、DVなどの面接が子に悪影響を及ぼさない限り、子に面接する権利があります。
ただ、両親は離婚を選択するまでにはいろいろな事情がありますので、非親権者に対する感情も複雑で信頼感を失っていることも多く、相手の権利だからといって子と面接することを簡単に受け入れられるものではありません。
場合によっては、試行的面接交渉を行いながら、信頼関係を徐々に作り出していくことが必要です。
当事者だけ難しいときは、家庭裁判所の調停を利用したり、FPIC(面接交渉の手助けをしてくれる民間団体。但し費用がかかります)などを利用して、スタートして実績を重ねていくことが重要です。
なお、養育費の支払をきちんとしていくことは、信頼構築の重要な要素ですので、この点は忘れないようにしてください。