法律相談事例
インターネット被害
消費者問題
先日、インターネットのHPを閲覧していると、広告サイトに『女性を紹介します。』という記載がありました。興味本位でクリックしてみると、そのサイトには女性の名前が書かれた一覧がありました。私は、『本当にそんなところに登録している人なんているのかな。』と軽い気持ちで、その女性の名前をクリックしてしまいました。
すると、『登録ありがとうございます。登録利用料が発生いたしました。下記口座に1万円をお振り込み下さい。お振り込みがない場合には、法的な手段も検討いたします。(口座番号)。090-××××-△△△△ 担当○○』などと記載されたページがでてきました。
結論から申し上げると、このようなケース(電子メールによる請求も含みます。)の場合には「無視」が最も有効な手段です。その会社に対して電話してはいけません。
電話をしてしまえば、着信履歴が残りますから、相手の思うつぼです。
あなたの電話に複数の電話番号から「登録したんだからお金を払え。」と執拗に電話がかかってきます。
そもそも、当該サイトの画面に前もって「クリックをすれば登録利用料が発生いたします。」などの記載がなければ、原則としてあなたに支払い義務はありません(そのサイトを閲覧して利用したのであれば別ですが)。そのような場合、契約が未だ成立していないからです。
ですから、あなたはその番号にわざわざ電話をする必要もありませんし、間違って電話をかけてしまった後に、電話がかかって来ても電話に出る必要がありません。誤って電話に出てしまった場合でも、「私には支払う義務がありません。」ときっぱり断って下さい。
ただし、裁判所から書類が来た場合は注意してください。それは無視してはいけません。無視してしまうと、相手の言い分が証拠がなくても裁判所に認められてしまう場合があります。
どの書類がダメで、どの書類が対応しなければいけないのか、自分で判断がつかない場合には、遠慮なく法律相談にいらっしゃってください。「法律相談はちょっと…。」という方であれば消費者生活センター等に問い合わせてみるのもいいと思います。なるべく早く専門家に聞いてみて下さい。
その場合でも支払う必要はありません。
「利用料が発生する」という記載だけではそもそも契約として成立していないとも言えますが、記載内容によっては、形式上、契約が成立している可能性もあります。しかし、仮にそうだとしても、あなたには「クリックすると登録利用料が発生する」という事を考えないで誤ってクリックしていまったのですから、こういう場合には、契約の重要な要素について錯誤があることになりますので、民法95条により錯誤の無効が主張できます。
なお、民法95条は、ただし書きにおいて、「重過失がある場合には無効は主張できない」(要約)とされています。しかし、インターネットの場合、電子消費者契約法3条が適用され、「消費者の申込み又は承諾の意思表示に際して、その意思の有無の確認を求める措置を講じなければ、民法95条ただし書は適用がない」(要約)こととなっています。
あなたの場合にも、そのような登録の意思を確認する措置などなされていませんので、契約が無効であると主張して、登録利用料の支払いを拒むことができます。
(補足) なお、こういった業者の手口は日々巧妙化していきます。クリックすると、IPアドレスやメールアドレスが自動的に表示される場合もあります(なお、この場合も単に表示がされているだけで、実際に業者があなたのアドレスを認識するということは通常考えられません。)。
何かトラブルがあった際には、以下の国民生活センターのHPを参考にしたり、国民(消費者)生活センターや消費者問題に取り組んでいる弁護士等に相談してください。
参考:国民生活センター